予防歯科は口臭対策になる?

はじめに

予防歯科とは、虫歯や歯周病などの病気になってから治療をするのではなく、ならないように予防していくという考え方です。

予防歯科でケアを続けていくと、虫歯や歯周病だけでなく「口臭」を防ぐことにも繋がります。今回は、予防歯科に取り組みながら口臭対策をしていく方法について詳しく解説します。

口臭

口臭の原因とは

口臭の原因は主に2つあります。

誰にでもある「生理的口臭」と、お口の中や身体に病気があることが影響する「病的口臭」です。

生理的口臭

生理的口臭は誰にでもある臭いです。
朝起きた直後、お腹が空いている時や緊張している時などは唾液の分泌量が低下し、お口の中の細菌が増えてしまいます。細菌が多いと口臭の原因となる「硫黄化合物」が作られて臭いを発します。
また女性の場合は、ホルモンの影響によって臭いが強くなることがありますが、一時的に強くなる口臭は、それほど心配ありません。

病的口臭

問題は、病的口臭です。生理的口臭に比べて臭いが強く、不快に感じやすい臭いを発します。
病的口臭の中には、お口の中の病気(虫歯、歯周病、舌苔など)に由来するものと、全身の病気に由来するものがあります。

口腔由来の病的口臭とは

虫歯

虫歯が進行すると虫歯菌により歯の組織が破壊されるため、組織が腐ったような臭いを発します。
根っこの先端まで虫歯が進行すると歯周病と同じように膿が出て、膿が臭いを発するようになります。
また、詰め物や被せ物をしてから年月が経つと、人工物との隙間から虫歯になったり、歯垢が溜まったりして臭いを発することがあります。

歯周病

歯周病を引き起こす「歯周病菌」は、口臭の原因となるガスを発生します。
また歯周病が重度になると膿が出て臭いが発生するようになります。

舌苔(ぜったい)

舌苔とは、舌の表面に食べ物の残りかす、様々な細菌や古い細胞などが溜まった白い苔のような汚れのことです。
舌苔が付着したままになっていると口臭が発生します。
舌苔が放つ口臭は、生理的口臭の強いもののようなイメージです。

全身由来の病的口臭とは

鼻や喉の病気、呼吸器系、糖尿病なども口臭が強くなりがちです。
消化器系の疾患、代謝系の疾患など、様々な病気が原因になります。
すでに持病がある方は、お口をできるだけ清潔に保ちながら、身体の病気の方もしっかりと通院するようにしましょう。また、気になる症状がある場合には、何か病気が潜んでいるかもしれません。対象の診療科を早めに受診するようにしましょう。

口臭対策には何をしたら良いの?

では、口臭対策はどのようにしたら良いのでしょうか。

生理的口臭の対策

生理的口臭は、お口の中の細菌が増えることによって起こります。
生活するうえで生理的口臭を完全に無くすことはできませんが、臭いのもととなる普段は除去しきれないプラークを歯科医院で除去しましょう。

予防歯科で定期的にクリーニングを受けると良いでしょう。

病的口臭の対策

病的口臭の対策には、その原因となる「虫歯」や「歯周病」を予防することが大切です。

定期的に受診し、虫歯や歯周病のチェックをするのが良いでしょう。早めにチェックをすることで、虫歯や歯周病の進行を予防することができます。治療の必要があれば早めに治療を行いましょう。

予防歯科では何をするの?

予防歯科では、歯科医院で行うケアだけではなく、毎日の自宅でのケアも同じように大切と考えられています。虫歯や歯周病は、毎日の歯磨きなどの習慣も大きく影響しているからです。

数ヶ月に一度受診する歯科医院でのケアだけでは、口腔内衛生を保てないため、毎日の自宅ケアも大切にしましょう。

歯科医院でのケア

歯科医院では次のような予防歯科の処置を受けることができます。

  • 虫歯の有無チェック
  • 歯周病の有無チェック
  • フッ素塗布
  • 歯石除去
  • PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)
  • ブラッシング指導

フッ素塗布

歯面にフッ素を塗って作用させる施術方法です。
フッ素には3つの作用があります。歯の表面を虫歯の酸に強くする「歯質強化作用」、細菌に対する「抗菌作用」、溶け出した歯質を修復する「再石灰化作用」です。
フッ素は、歯磨き粉などにも含まれていますが、歯科医院で塗布するものは、自宅で使用するものよりも濃度が高く、1回の効果が高くなります。 3〜4ヶ月に1度の塗布がお薦めです。

歯石除去

細菌の塊である歯垢が、唾液の成分により石灰化すると「歯石」になります。

歯石がついていると、周囲に歯周病菌は繁殖しやすくなり、歯茎の炎症の原因になります。

歯石は、自分では除去することができないため、定期的に歯科医院に通い除去する必要があります。

PMTC

「プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング」の略で、普段の歯磨きでは除去しきれない歯の表面の汚れを専用の機械を使ってクリーニングする歯面清掃のことです。
バイオフィルムという細菌の集合体を破壊し、歯の表面をツルツルにします。

歯のクリーニング

自宅でのケア

毎日の歯磨きなどのケアを丁寧に行うことが大切です。
自己流の歯磨き方法ではいつの間にか磨き癖がついてしまい、磨き残しを作ってしまいがちです。定期的に歯科医院を受診した際にブラッシング指導を受けると良いでしょう。

また、歯ブラシだけで落とせる汚れは、全体の60%程度だと言われています。歯間ブラシやデンタルフロスなどの歯と歯の間の汚れを落とせる清掃補助用具を使うようにしましょう。
それでも落とせない汚れは、歯科医院で定期的にクリーニングすることが理想的です。

口臭を防ぐためのその他のポイント

その他の口臭の原因に「舌の汚れ」や「不適合な詰め物・被せ物」が挙げられます。

舌の汚れの除去

舌を鏡で見てみると、舌の上に白っぽい汚れが付着していることはありませんか?これは、細菌の集まり、食べ物の汚れ、お口の中の古い細胞の集まりです。

舌の汚れは、口臭の原因になります。
舌も汚れをとるようにしましょう。ただし、強く擦りすぎてしまうと舌の表面を傷めてしまうことがあるため、1日1回程度、舌専用のブラシや柔らかめの歯ブラシで、舌の奥から手前に優しく擦るようにして汚れを落としましょう。
白い汚れが残っていても無理にゴシゴシするのではなく、優しく擦るようにしましょう。

不適合な詰め物や被せ物のやり替え

一度治療した詰め物や被せ物は、ずっと使用できるわけではありません。取り付けた際の接着剤は年月の経過と共に劣化してしまいます。
また、隙間が生じるとそこから二次的に虫歯になることもあります。

不適合になった詰め物や被せ物は、汚れや虫歯になった組織が発する臭いにより、口臭が発生することがあります。歯科医院で定期的にお口の中をチェックする際に不適合な詰め物や被せ物があったら、やり替えることをおすすめします。

まとめ

予防歯科は、虫歯や歯周病を予防するだけでなく、口臭を予防することにも繋がります。

口臭はなかなか人に相談しづらい問題ですが、お口の中の病気を予防し、お口の中を衛生的に保つことで、口臭予防になります。
予防歯科に取り組み、口臭も予防していきましょう。

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